こほろぎ嬢

http://www.h3.dion.ne.jp/~tantan-s/frmKohorogi01.html*1
大好きな原作の映像化って たいていがっかりするけれど
(だって自分の脳内映画館のほうが、自分好みの幻影を見せてくれるから)
これはそんなことなくて、丁寧に愛情込めてつくったかんじでうれしくなった*2 *3


キャスティングは、誰ひとり裏切られることがなく、
特に 小野町子役の 石井あす香(いやみなく繊細にボンヤリしてる) と
土田九作役の 室井誠明(なんかいいかんじにズレがある) はピッタリ‥ 


鳥取県がバックアップということで、ロケ地が豪華で (砂丘も登場)
空き地のはずが森を歩いたり、訪ねていくおうちが豪邸*4だったりして
少しとまどったけれど 眼はよろこんでいました


前作の「第七官界彷徨尾崎翠を探して」 は偉人もの(?)と早合点して
観ていなかったのだけど (後悔百万年)
室井誠明が佐田三五郎役で出演しているのと
途中「第七官界彷徨」が映像化されているみたいなので、今からでも 観なくちゃ‥


というか、この監督は、尾崎翠の後年を不幸にとらえる説を否定したい方なんですね
わたしも、勝手に人の人生に不幸のレッテルを貼るのはおかしいと思っているので
(尾崎さんは不幸もたのしめるユーモアをもってると思うの)
(薬とか最期の言葉とかあるけれど、不幸に見ようとすれば そりゃあなんだって不幸になるよ)
(まぁわたしの思いは、研究とかではなく、思想の問題だけど)
これはぜひ観なくちゃなー‥

*1:前から不思議なんだけど、シネマアートン下北沢のロードショープログラムって、ヘンじゃない?社会人は土日に賭けるしかないんだけど、なんで?(この「こほろぎ嬢」は、13:30、15:30、17:30。シモキタにサラリーマンが足を運ぶなってこと?←被害妄想

*2:原作をとても大事にしているので、原作ファンを裏切らないかわりに、意外性とかはないかも(あ、でも本で読むよりセクシーでどぎまぎした場面ありました)。でもすごく原作を愛してるのが伝わってきてよかった

*3:監督も、この映画は尾崎翠の世界をもっと世間に知ってもらうため、とおっしゃっていたので、原作世界をこわさないことがとにかく大事だったのだろう

*4:松木邸。すっごい素敵な建物だけれど、おはぎをもって行く場所じゃないよなーと思ったら、大正天皇の宿泊所ですって(素敵なのよ