乱歩地獄

4作品とも、ゴージャスに見せて チープなかんじだった
(特にいい意味ではなく)
(でもどちかというと 健闘を称えたいきもち)
かるいきもちで、期待しないで観るといいかと思います


江戸川乱歩の魅力のひとつに、
昭和初期、電灯のくらい時代のノスタルジー感があると思うのだけど
そういうレトロっぽい背景がどの作品にもないのが意外だった


考えてみれば 江戸川乱歩作品の映画化って、つねにいまいちな気がする
本で読んで想像した世界には どんな映像を持ってこられてもかなわないというか‥
でもこれからも乱歩作品はあれこれ映画化されて
そのたびに観に行っては あれこれ思うんだろうなー


はてな内の感想で、「けっこうエログロ。きつい」 てな感想を目にしていたので
気合いを入れてのぞんだら ‥あれれ? (‥かなり全然平気だった)
ああ、自分はもうこれくらいのエログロにはこころ動かされないんだなぁ、と
はるばるした心境になりました


オムニバス4編の感想は 長くなるのでたたみます


・・・・・・・
「火星の運河」
ものすごい短編、イメージビデオ? ???
浅野忠信の裸体についても ??? (どれくらい価値があるのかわからず)


「鏡地獄」
実相寺監督作品
たぶんこれがいちばんの目玉なのだろうけど、正直つまらなかった
ものすごく、オーソドックス
それが悪いって言うつもりはないけれど 大御所の仕事ではない気がした (エラそう‥)


「芋虫」
10代のときに江戸川乱歩をだーっと読んでいって
この作品で「もうだめだ‥」 となって挫折した、思い出の小説の映像化
いろいろ脚色がされていて、はじめは
「うーむ この話は夫婦二人の地獄(というか妻の地獄)の話なのに
 よけいな登場人物(松田龍平)入れちゃだめじゃんー むーう‥」 と
イライラしたのだけど、考えてみれば 小説のあれをそのままなぞっても たぶんかなわないし
映像的に広がりをつけるとしたら これもありかな、ありかも、ありだよ・うん、
よくやったんじゃない? と肯定したいきもちに落ち着いた
だってこの小説、ほんと むずかしそうだもん


「蟲」
見所は、たまきさんの女優コスプレ‥! と断言したいけど、どうでしょう
緒川たまきの美しさを大画面で満喫して 「ありがたや」 と手をあわせたい気持ちになりました
(DVD出たら買いたいかも、とすら思った*1。この映画(「乱歩地獄」)の、満足の源)


全編とおして活躍する浅野忠信なのだけど、
「鏡地獄」「芋虫」では明智探偵だった彼が、この作品では偏執的犯罪者なので
「堕ちたな明智‥」と一瞬思って、でも「火星の運河」では 特に名前もついていない男だったよ、
などと ぐるりと思い返したら なんとなく4編がつながった気がした
(なんか意味あるのかな、浅野に頼りすぎ、と否定的に観ていたのが、
 肯定しても いい心境になった) 

*1:しかし映画のパンフは買わず。堅実な消費者