ヴェンダースオールナイト@新文芸坐

ヴィム・ヴェンダース新文芸坐に!やってくる!


なんて舞い上がって前売りを買ってワクワクしてたんだけど
気がつけば自分、ぜんぜん、ヴェンダースファンじゃないんでした
うわ!ミーハー!
でも自分、新文芸坐ファンですから、新文芸坐の晴れ舞台ってことで、
でかけてきました


ヴェンダース監督は、話上手というか話好きというか
親切に丁寧に、予定時間の40分をかるがる超えて、小一時間ほど話してくれた
いい人だ‥
(それなのに自分は。この人の映画がいまいち理解できないのよ、とさびしくなったけど)
面白かったので箇条書きでメモ
(長いです)


::::
まずいちばんさいしょは、「みんな、昼間ちゃんと寝てきた?映画を3本続けて見るのはたいへんなことだよ。3本目のときにチャンと起きてるか見に来るよ。ゼッタイ寝てるよ」、と軽くジャブ。
・(ロードムービーが多いけれど、これから撮ってみたいお気に入りの道は、と聞かれ→)行ったことのない道がいい。まだ通ったことのない道がいちばんいい道だと思う
・(今後の予定を聞かれて→)特に決まってない。(自分にしてはとてもめずらしいこと!)、無こそすべて。
・(写真展での様子を説明。自分の写真は大きくカラーで、奥さんの写真は小さくて白黒→)美は、小さいもののなかに。
(このあたり禅問答のようだけど。通訳さんの趣味かも知れません)
・(日本映画について聞かれて。小津監督への思いを語ったあとで→)小津監督のDVDは全部持っているけれど字幕が入っていないので、日本語だけしか言語がないのだけれど。DVD見てるあいだは自分は日本語が理解できるような感覚で見ている。オトウサン・オカアサン・モノガタリ、この3つの言葉がとても重要で。4つ目に重要な言葉は「ハイ」かな。


(以下のみっつの質問は、会場から即興的に)
・(映画監督に重要なものを聞かれ→)お金に関しての質問なら自分には不相応な質問だけれど、自分を表現するためのアドヴァイスなら自分は適任かな、と前置きして→「自分にしか持てない情熱を持ち続けること」
・(あなたにとって音楽とはなにか、という質問に→)そのときどきで変わるから普遍的なこたえはないけれど。映画を構成するうえで重要な核のひとつであることはたしか。トゥーマッチにならないように気をつけている
・(映画のなかで、主人公が見知らぬ土地に向かうという設定が多いけれどこれはなぜか、という質問に→)知らない土地ではしがらみがないぶん物事がシンプルになり本質を見つけやすい。知らない景色というのはたいへんよい。映画の最中に眠ると、目が覚めたときまったく知らない場面に遭遇するわけで。そういうわけで映画の最中に寝るのは大歓迎だよ(笑)


・上映映画の3作品についても、けっこう親切な解説をしてくれて。印象的だったのは「ランド・オブ・プレンティ」はすごい低予算で、撮影は16日間という強行ともいえるスケジュールだったのだけれど。それは自分が言いたいことを詰めたかったからで。大きなお金が絡んでくると自分の言いたいことが表現がストレートに出せなくなってしまう。この映画はこじんまり作ったおかげでとてもストレートに自分のメッセージがでているんだ。あと主演の女優さん(この映画は彼女のために作った、とも)が当時21歳で若かったので、あまり緊張させないようにスタッフ編成には気を付けた。
(あと「ブエナビスタ」、は準備期間が5日しかなかった(ライ・クーダーに、「5日後にキューバ行くけど一緒に来るかい」と声をかけられた、と言っていた。ほんとかなー‥)ので、気をつけて観ると、すごく時間がなかったことがわかる作りになっている、とも)(わたしにはわからなかったけど)


・・・・・
(5月22日追記) (ほんとたいしたこと書けないけど)
なぜ映画監督になったのか?という質問には →
子供の頃は、宇宙飛行士になりたかった。青年期に、絵を勉強しにパリに留学して。借りた部屋が寒くて寒くて。暖をとるためにシネマテークへ通った。1回50円くらいだったかな、入れ替え制なので、入れ替え時間にはトイレに行って、うまく誤魔化して。そうすると一日50円で、朝から晩まで名作を楽しめるんだ。自然と映画が好きになったよ。


一緒に来ていた奥さん(なんというか、当然美人)は、基本的(?)にステージ?下から舞台をながめ、終盤写真展の話の時だけステージにあがってきました。黒い上着に黒いフレアースカート(ロング)に、着物をリメイクした色艶やかなストールをしていて素敵な親日家といった風情でした


(わたしのメモと記憶によるものなので、細部のニュアンスがちがうと思った方、すみません)


:::::
映画は、「パリ、テキサス」(観るの2回目)、
ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」(3回目。そんなに好きじゃないのにかっこいいのでつい)、
ランド・オブ・プレンティ」(初見。あまりヴェンダースファンじゃないのがわかるね‥)
の3作品
3作品ヴェンダースというのは なんというか覚悟が決まるね‥!
覚悟というかテンポに慣れるからか、自分としては意外なことに、そんなに眠くならなかった 
(隣の席の人は、完全に寝ていた。3作品とも。なにがどうして?)


パリ、テキサス」は若き日のジョン・ルーリーの、
「いい男だけどなんかあやしい」姿に満足しつつ
子役(ハンター)の聡明そうな姿に見惚れました (今、どんな青年になっているのやら)
ブエナビスタ〜」は3回目だから睡眠にあてよう、と思っていたのに
かっこいいせいでなんとなく 最後まで観てしまった
「ランド・オブ〜」は、なるほど熱いなぁ‥ (そのまんまですね (すみません)


6時過ぎに外にでると、スコンと青空で、いい季節になったなぁ、と思いつつ
カラスが意外に近くまでやってくる池袋の街をあとにしました